製作者:せがわ 様
プレイ時間:ストーリーだけなら8~10時間程度
ストーリー外のダンジョン攻略やセリフ回収等するなら20時間以上(1周)
受賞歴:「フリゲ2020」1位
「フリーゲーム・オブ・ザ・イヤー」10位
推奨年齢:12歳以上(軽度のグロ、ホラー、鬱要素および多くのシリアス成分を含むため)
10人のHANOI(AI搭載型アンドロイド)と共に、仮想バーチャル世界「TOWER」に挑む、シリアスRPG。シナリオ&キャラゲーです。
ゲームのあらすじ
「その世界の礎は、数字達の苦痛でした」
「TOWER」という仮想バーチャルのテストプレイに挑む、
1人の人間と、10人の「HANOI」のお話です。(ふりーむ!様のゲームDLページより引用)
まず、「HANOI」とはゲーム内ではAI搭載型アンドロイドを指します。このHANOIは思考・学習能力はもちろん、感覚や感情まで備えた非常に優秀なアンドロイドです。
しかし、心身ともに酷使されたり、自分の役割に疑問を抱くHANOIたちは少なくなく、彼らは高いストレスを感じています。
そんなHANOIのストレス解消用仮想バーチャルとして作られたのがTOWERです。そのテストプレイとして、10人のHANOI、その監察官である人間、コーラル・ブラウン(主人公)が挑みます。
監察官としての役割や、人間という立場を通じて、何を思うのか。そしてHANOIたちやTOWER内の住人たち……いわば「数字」である彼らは何を思うのか。
立場や役割、「数字」たちの感情や関わり方を考えながらプレイしましょう。
ざっくりしたおすすめポイント&向いてないポイント
☆こんな人におすすめ!
・キャラゲーが好き
・共感性があり、シリアスに耐性がある人
※必須ではないが、つらい展開を進んでプレイできる人もおすすめタイプ(例:UNDERTALEのGルートをやり抜けるタイプ)。
★こんな人には向かないかも
・共感性がありすぎる人
・グロが苦手な人(R12程度)
・戦闘に戦略性や歯ごたえを求める人
おすすめポイントの解説
・キャラゲーが好き
あらすじにもあるとおり、HANOIは10人います。それぞれが何らかの苦悩を抱えており、親密度が上がるとその詳しい内容を話してくれたり、考え方や接し方も変わってきます。
例えば、HANOIたちに頼むと料理を作ってくれますが、親密度が上がればその内容や手の込みよう(もちろんセリフも)が変わったりもします。
それぞれ本当に魅力的な人物たちで、それだけで十分楽しめる……と思いきや、このゲームの作りこみはそれでは終わりません。
ゲーム内に配置されているオブジェクトを調べたときにまで、キャラそれぞれ専用のセリフがあったり……(「特別監視タグ」というアイテムをキャラに装備させる必要があります)。
中ボス戦やボス戦でも当然のように専用セリフがあります。しかも、通常戦闘も含め攻撃の際はキャラのドットが動き、視覚的にも楽しめます。
それだけにとどまらず、キャラ同士にも親密度があり、だんだん仲良くなっていく様子の会話まであるのです。
こんな風に作者様の熱量がヤバいゲームですので、一周するころには必ず推しキャラができています。そして二週目でセリフ回収をしたりや新たな推しキャラができたりするので、プレイ時間が延びること請け合いです。
・共感性があり、シリアスに耐性がある人
HANOIやTOWER内の住人たちの苦悩にスポットを当てているゲームなので、内容としてはシリアスでやや重めです。
そして、その苦悩に同情・共感し、交流を重ねていくたびにキャラクターたちへの愛情も深まりますが、同時にプレイヤーの葛藤が生まれることもあります。
そこが本作の魅力のひとつでもありますので、共感性の高い人や優しい人がプレイするとより一層主人公・コーラルの気持ちになってプレイできるかと思います。
※必須ではないが、つらい展開を進んでプレイできる人もおすすめタイプ(例:UNDERTALEのGルートをやり抜けるタイプ)
さて、このような人もおすすめタイプと挙げましたが、実は本作にはエンドが大きく2つあり、大体の人は1つ目のエンドを迎えるかと思います。
具体的なエンド分岐についてはネタバレになるのと、ゲームフォルダ内に作者様メモがあるので省略しますが、2つ目はHANOIたちへの愛情が深まっているほど心をえぐりにくるエンドになる……と思います。
「思います」というぼんやりした表現をしたのは、実は2つ目のエンドを攻略していないからです。製作者様がニコニコ動画で上げているゲーム内BGM集の動画や、エンド分岐ヒントからダイジェスト的には把握していますが、私にはプレイできそうにありません。
本作を本当に100%遊びきりたいのであれば、やっぱりもう1つのエンドも遊ぶべきなのかなとは思います。それでも、本作を自分なりに楽しみきったと思ってプレイできたので、エンド攻略はできる人がお好みでしたらいいのかな、と思います。
こんな人には向かないかもポイントの解説
・共感性がありすぎる人
本作は、敵キャラに根っからの悪人という人がいません。みんなそれぞれ思うところがあって、敵として立ちふさがってきます。出会い方さえ違えば友達になれそうですらありますが、それでも敵は敵です。
また、NPCのセリフ一つとっても苦悩が伝わってくるので、共感しすぎる人や、鬱気味の方がプレイするとつらくなってしまうかもしれません。
・グロが苦手な人(R12程度)
ルートにもよりますが、まあまあなグロ場面を見ながらプレイする必要があります。
臓物モチーフの敵が出たり、NPCの痛がってる様子があったり、首ちょんぱされた後の光景があったりします。
私は平気でしたが、たとえゲーム内でドット表現であってもグロは無理かも……という人は、次の画像のグロ具合を見て判断してみましょう。ビジュアル的なグロさはトップ3に入るかなと思います。
・戦闘に戦略性や歯ごたえを求める人
本作の戦闘は、ツクールのデフォルト戦闘になっており基本的に殴っていればOKです。パーティ編成にもよりますが敵もそれほど強くはなく、難易度は易しい~普通くらいでした。
お金はかかりますが回復アイテムもそれぞれ99個まで持てるので、お金を稼ぐ手段さえ確保してしまえばもはやヌルゲーといっても過言ではないでしょう。
プレイした感想およびまとめ
本当にどのキャラも魅力的で一生懸命で、嫌いなキャラがいないゲームでした。キャラゲーと作者様が言うだけあり、キャラ別のテキスト量が半端ではなく、その熱量と根気に平伏するしかありません。
それゆえ、1周目でHANOIたちへの共感・愛情が深まったあまり、2週目以降でもルート分岐条件を満たせませんでした。
ゲームを遊びつくさないのは、ゲームを紹介する「プレイヤー」としては間違っているかもしれません。しかし「監察官」の役割になりきってプレイできたので、これはこれで良かったと思っています。
皆さんもキャラたちと交流を深めてその魅力に悶えつつ、時にはいろいろ悩みながらプレイしてもらえると、きっと楽しくプレイできると思います。
あとは、振り返ってみてこうしておけば良かったというのは、塔の攻略でもっと積極的に本部に帰って良かった、ということでしょうか。
ゲーム内で無理せず撤退しながら攻略してね、というアドバイスがあったにも関わらす、一週目は第一の塔を撤退なしでクリアしてしまいました。回復手段が少なく、かなりギリギリだったと思います。
何度撤退してもまったくデメリットは無いどころか、親密度別のセリフ回収やイベント回収には撤退が必須なので、気づいてからは積極的に撤退していました。もっと早く気づけばよかった。
それから、序盤で渡される「特別監視タグ」なのですが、一周目は第一の塔クリア直前まで全く装備させていませんでした。名前が若干物騒だったので、親密度最低値のHANOIたちに装備させるのが忍びなく思えてしまったからです。
これも特にデメリットは無いどころか、能力値が上がって専用セリフを喋ってくれるようになるアイテムなので、もっと早く装備させていれば良かったです。
いろいろ述べましたが、近年のフリーRPGで間違いなく名作に入るゲームだと思います。特にキャラゲーの中では、トップクラスに完成度の高いゲームだと思いますで、キャラゲー好きには是非プレイしてほしいです。
次は、同じ作者様の短編ゲームを紹介しようかなと思っています。それではまた次回!
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