製作者:暗闇行燈 様
プレイ時間:5分~何時間でも
受賞歴:「第10回ふりーむ!ゲームコンテスト」フリーシナリオ部門金賞
「フリゲ2015」10位タイ
前人未踏の世界を旅して、美味しいものを食べたり仲間に出会ったり世界の謎に迫ったりするRPGです。アドベンチャー色も結構あるかもしれません。
ゲームのあらすじ
主人公は青髪の少年「フォン」です。自分たちの住む土地は荒海と断崖絶壁に囲まれており、そこが人の住む世界の全てであると言い伝られてきました。
そんなある日、フォンは自分が住む土地以外まで記された地図を手に入れます。自分たちの住む場所は、その土地では世界の片隅に過ぎませんでした。
15歳になり成人を迎えたフォンは、地図を持って家を出ます。なぜか言葉を話せる飼い猫も一緒に来てくれます。
そこからどこへ行くのか、何をするのかはフォン、そしてプレイヤー次第です。出発早々家に帰って旅を終えるのも良し、地図のとおり世界は広がっているのか確かめるのも良し。
好奇心のままに旅をしてください。
類を見ない「質問システム」
実は本作の主人公、先天性の発声障害によるものなのか口を利くことができません。周囲の人々も識字率が低く、筆談もままなりません。
しかしながら、人々は聞かれてもいないことを話してくれたりは当然してくれません。
そんな中、主人公の代わりに人々に質問をしてくれるのは飼い猫の「マオ」(デフォルト名)です。単語を入力すると、その単語についてマオが尋ねてくれます。
疑問に思ったことや知りたいことについては、この質問システムを使って聞き取りを重ねる必要があります。
ざっくりしたおすすめポイント&向いてないポイント
☆こんな人におすすめ!
・オープンワールド系のゲームが好き
・無口系主人公が好き
・仲間との掛け合いをしたり交流を深めたりしたい(男女問わず恋愛関係になることも可能)
・自分の力で謎に迫っていきたい
・ルート分岐のあるゲームが好き
★こんな人には向かないかも
・バグの無いゲームをしたい
※私がプレイしたときは、進行に支障がでるレベルのものは出ませんでした
・戦闘に歯ごたえを求めたい、もしくはデフォルトの戦闘をしたい
おすすめポイントの解説
・オープンワールド系のゲームが好き
旅するのは前人未踏の地がほとんどなので、道なき道を進んでいくことになります。
キノコ等を取ったり獣を倒して食料を手に入れたりしつつ、 テントを張って野営をしながら進むのは、まさしく冒険者といった感じでした。
ちなみに野営では、レシピと材料があれば美味しい料理を作ることができます。回復量が上がるだけでなく、仲間ごとの反応も貰えるのが嬉しいポイントです。
また、特徴の一つとして、このゲームは崖のぼりができます。ちょっとくらいの崖ならば、すいすい越えてしまえるので、より冒険感があって好きでした。
さらに、時間や曜日の概念もあるため、特定の時間・曜日でないと発生しないイベント等もあります。よりリアル感が増して良かった点でした。
・無口系主人公が好き
フォンは先天性の発声障害があるのか、一切話すことができません。基本的な意思表示は「はい」か「いいえ」で、どういった選択・行動を取るかはプレイヤーが選べるので、自分で冒険する没入感が欲しい人にはとても良いと思います。
・ 仲間との掛け合いをしたり交流を深めたりしたい(男女問わず恋愛関係になることも可能)
括弧の中については後述するとして、まずは仲間との掛け合いや交流について述べます。
旅の中で増えることもある仲間ですが、全員それぞれが個性的で魅力的です。キャラによっては謎に対する考えも言ってくれることもあり、お助けキャラとしての一面もあったりします。
それぞれテキストも豊富なので道中が賑やかで、旅をするのがとても楽しかったです。仲間にするタイミングを変えると場面ごとの異なるセリフが見られたりして、周回してセリフを回収するのもまた一興です。というかどんだけ作りこんであるんでしょうか。
男女問わず恋愛関係になることも可能 という点についてですが、一緒に旅を続けることで親密度が深まり、一定値以上でなんと仲間にプロポーズをすることが可能になります。
もちろん恋愛関係に進まないまま旅を終えることも可能です。しかしながら、仲間たちの可愛らしい一面が見れるので強くお勧めしたいところではあります。
・ 自分の力で謎に迫っていきたい
前述の質問システムで軽く述べましたが、人々は都合よく自分の知りたいことを勝手に話してはくれません。なので、知りたいことや疑問に思ったことについては、単語で質問をする必要があります。
手探りでじりじりと謎に迫っていき、知りたい内容にたどり着けた時の達成感はひとしおです。
・ルート分岐のあるゲームが好き
このゲームのエンディングについてですが、明確なゴールというものはありません。家に戻って「旅を終える」選択をすれば、それでエンディングに入ります。
しかしながら、旅を終えた時点の到達度で仲間やフォンのその後が大きく変化するので、ルート分岐が好きな人はセーブをしてこまめにエンディングを迎えてみると面白いです。
こんな人には向かないかもポイントの解説
・バグの無いゲームをしたい
このゲーム、実は公開当初はバグの嵐でした。しかし、現在では製作者様によってあらかた修正がされ、進行に支障がでるレベルのものは無い、と言っていいでしょう。
私が遭遇したのは、会話をキャンセルキーで終了すると背景が黒い状態でメニュー画面が開く、たまに主人公がハマって動けなくなる、くらいのものでした。メニュー画面については一回開きなおせばいいですし、ハマり対策用のアイテムもゲーム内にあるので、まったく問題なくプレイできました。
・戦闘に歯ごたえを求めたい、もしくはデフォルトの戦闘をしたい
ツクール製の作品ですが、いわゆるターン制のデフォルトの戦闘ではありません。
シンボルエンカウント式で、エンカウント時の味方の配置状況で戦闘がスタートします。敵も含めて敏捷順で行動し、それぞれ移動や攻撃、行動などすることができます。シミュレーション系の戦闘ですね(サモンナイトシリーズが近いでしょうか)。
しかし、基本的には装備が整っていればどうにでもできますし、 各キャラが使える「励ます」のコマンドを使うと、ランダムですが成功すれば応援対象の行動順を大幅に上げることができます。
基本的には「励ます」を使って連続攻撃を狙っていくと、敵の耐久力もさして無いのでノーダメで戦闘を終えることも可能です。
ただ、耐久力があまりないのはこちらも同じで、しかも体力の回復手段は野営か宿で寝るしかないため、戦闘に慣れないうちは大変かもしれません。
しかしながら、一度慣れてしまえば戦闘はほぼ作業と変わらないレベルにはなります。また、戦闘はイベントを除き必須ではないので、面倒なら避けてしまってもいいでしょう。
補足:体力と時間の経過の連動システムについて
おすすめポイントや向いてないかもポイントに入れるにはちょっと迷ったので、補足として開設します。
このゲームには時間の概念が存在しますが、その経過は体力の減少と連動しています。
例えば朝に戦闘開始したとして、体力が大きく削られると戦闘終了と同時に夜になりますし、街中で行動をしていて夜になると、体力がいつのまにか1になっていたりします。
時間と連動している関係なのか、体力を回復させるには野営や宿に泊まるなどして朝になるしかありません(朝になると回復している)。それ以外の回復手段はありません。
慣れるまでは戸惑うポイントだと思いますが、慣れてしまえば体力1の状態で深夜の強行軍をすることもできちゃいます。
プレイした感想およびまとめ
有名なフリーRPGは大体プレイしてからプレイしたゲームでしたが、なんでもっと有名になっていないのか不思議なレベルの完成度のある作品だったと思います。
Ruinaやシルフェイド幻想譚が好きな人だったら自信を持って進めたいタイプの作品です。
世界の謎を解明したときの達成感は凄かったですし、その内容もとてもよく練られているなと感じました。さすがのフリーシナリオ部門金賞。
仲間たちもみんな魅力的で、セリフ回収のために3~4周は周回しました。
個人的にはサゴジョがイチオシです!主人公の性別は固定なのでどうしてもBLになりますが、抵抗が無いのであれば是非。
ちなみに質問システムについては、次回作の「扉は君の鍵で開く」でさらに使いやすく改良されており、そちらはウディコン2020で第4位を受賞しています。そちらもまたいつか記事を書こうかと思っていますが、面白いゲームを作られる方なんだなあとつくづく思いました。
興味のある方は是非どちらもプレイされてみてください、それではまた次回!
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